朝倉恭介vs川瀬雅彦シリーズ

17 06 2011

全6冊からなる、楡周平の代表作ともいうべきシリーズ本。初めて読んだのは、第4弾にあたる「クラッシュ」。図書館をふらついていた時に本書の裏面に記載されていたあらすじを読んで、面白そうだと思い借りてみました。天才プログラマーによって乗っ取られてしまった最新鋭機のプログラム。ジャーナリスト川瀬雅彦が、地球規模のサーバーテロに立ち向かいます。ネット社会の現在における永遠のテーマとも言うべきネットウイルスを題材にしていた本書は、手口が具体的に巧妙に描かれていて、物語にかなり惹き込まれていきました。同時に、そのリアリティさに恐怖も感じました。久々に「面白い!」と思えたハードボイルド系だったので、全編全部読んでみようと思いました。

第1弾の「Cの福音」は、悪のヒーロー朝倉恭介がマフィアの大物と組み、コンピュータ・ネットワークを駆使して作り上げたコカイン密輸システムの話。日本の関税法の盲点をついた完全犯罪で、マフィアのボスにも一目も二目も置かれていきます。筆者のデビュー作らしいのですが、犯罪方法を細部まで描きながらも、前半部の単調さは少し退屈でした。特に、一つ一つの動作に形容詞をつけすぎて、ちょっとしつこい感じを受けました。内容はそこそこ面白かったのですが、この第1弾を始めに読んだとしたら、「んー、もういいかな。」という気分になってしまったでしょう。

第2弾は、報道カメラマンの川瀬雅彦が主人公の「クーデター」。怪しい宗教集団が日本を未曾有の危機にさらしていきます。サリン事件を起こした某宗教団体を彷彿とさせ、「日本は平和」という国民意識が高い日本へ警鐘を鳴らしたともいうべき一冊。テロ集団の計画は緻密で、本のかなりの部分を割いていて面白かったのですが、あまりにもあっけない結末がちょっと物足りなかったです。ただ、特に戦闘技術を持っていない主人公が、戦場報道の経験を便りにテロ集団に立ち向かう姿は、何か現実感があってドキドキさせられましたし、第1弾よりずっと面白かったです。

第3弾「猛禽の宴」は、再び朝倉恭介が主人公。今回はアメリカが舞台で、朝倉恭介のパートナーだったマフィアのボスが襲撃され、その後釜争いを中心としたマフィアの勢力抗争です。そんな中、ある人物が恭介の行っている密輸システムに目をつけ、やがて決着の時を迎えることに。まさに手に汗握る、ゴッドファーザーの世界で、これぞハードボイルドという印象を受けました。マフィアの話好きにはたまらない本だと思います。

冒頭に紹介した第4弾を経て、第5弾は朝倉恭介が主人公の「ターゲット」。悪のヒーローがCIAにリクルートされ、北朝鮮が企む恐るべき未知の生物兵器に立ち向かう本書は、かなりオススメです。全シリーズの中で一番面白かったかも。悪のヒーローがCIAの特殊訓練を受けたことにより、大幅パワーアップ。肉体的には去ることながら、身近にあるもので殺傷能力の高い武器を作成するなど、恐るべき男になってしまいます。北朝鮮のターゲットはアメリカながらも、舞台は在日米軍基地で、日本に潜伏するテロリストをCIAらしいやり口で撃滅していく展開は、ハリウッド映画並みに臨場感たっぷり。映画化してもかなりウケると思います。

そしてシリーズ最終作となる第6弾は、初めて朝倉恭介と川瀬雅彦が対峙し、そして最期を迎えることとなる「朝倉恭介」。恭介が完璧に作り上げたコカイン密輸の完璧なシステムが、ついに白日の元に。警察から追われ、CIAが暗殺を企てる中、川瀬雅彦が恭介に接触。悪のヒーローとジャーナリスト、生き残るのはどちらか?恐るべき猛獣と化した朝倉に一介の人間である川瀬がどう立ち向かうのか。アクション性満載で、シリーズの有終の美を飾るにふさわしいものに仕上がってます。

こうして全シリーズ読破しましたが、一作目を除いてかなりレベルの高いものでした。ただ、一作目はデビュー作らしいですから、それを考えると一作目もディテールを細部まで描いていましたし、楡周平氏の本は面白いと思います。他の作品もぜひ読みたいと思います。

第1弾「Cの福音」

第2弾「クーデター」

第3弾「猛禽の宴」

第4弾「クラッシュ」

第5弾「ターゲット」

第6弾「朝倉恭介」

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