東野圭吾の短編集

10 02 2010

ミステリー小説で高名な東野圭吾ですが、短編集も面白いです。図書館において貸出中の事が多いので、たまに彼の棚に本があると何でもいいから借りてしまいます。そこで手にした2冊の短編集「怪笑小説」「黒笑小説」がとても良かったです。両方とも今まで思っていた東野圭吾のイメージを覆す、明るくユニークな内容でした。とにかく最後のオチが凄いです。「あ〜、なるほど。こう終わるのか〜」と何度も唸されました。

「怪笑小説」で印象に残っているのは第1話の「鬱積電車」。(隣の親父臭いな〜、最悪!)(ふざけるな!何で年寄りの私に席を譲らないの!)といった電車に乗っている人々の気持ちが車内で盛んに飛び交っているだけのストーリーなのですが、最後になぜこんなストーリーだったのか判明し、思わず「うわー」と声を出してしまいました。このような心の台詞を自分も考えたことがあるかもと、我が事にようにも考えていただけに、これが本当に起こったらマジ、ヤバイっす!また、「しかばね分譲住宅」も良かったです。バブルが崩壊して値下がりが続く分譲住宅地で死体を発見。これによりさらなる時価下落を恐れた住民達がとった行動とは・・・。非常に悪趣味なストーリーでしたが、どんどんエスカレートしていく展開に「どう終わるのだろう」と思っていたところ、このラストのオチ。笑わずにはいられませんでした。

一方「黒笑小説」はタイトルの通り、ブラックユーモアが強いストーリーが多かったです。前半の4作「過去の人」「もうひとつの助走」「選考会」「線香花火」は、旬を過ぎた作家と編集者との関わり合いを描いており、これはある意味編集者への苦言とも取れる、非常にグレーな要素が強かったです。解説で「東野圭吾は陽の当たらなかった時期が長かった」と書かれていましたが、そんな時期を体験した人だからなのでしょうか、登場人物一人ひとりの台詞や気持ちが生きているようでした。そして最後に編集者が言った一言が脳裏に焼き付きました。「受賞式が終わった時からその人はもう過去の人なんだよ」・・・この台詞を読んだ時、体がゾクゾクっとしました。他、24時間勃たなくなる薬の話「インポグラ」や何でも巨乳に見えてしまう人の話「巨乳妄想症候群」といった下ネタ系の話や、売れないお笑い芸人が必死にホテルのボーイを笑わそうとする「笑わない男」、フラれた女性からストーカーを強要される「ストーカー入門」など、様々なジャンルの内容がありましたが、どれもオチが面白い。中でも人気キャラクターグッズを娘にせがまれる父親を描いた「臨界家族」は他人事とは思えないストーリーでした。

この二冊を読んで東野圭吾の新たな一面を見たような気がします。同時にいろんな顔を持っているのを知り、引き出しもたくさんあって本当に凄い作家なんだなあと感動をも覚えました。上記二冊の他、「毒笑小説」もあるとのことなので、図書館で見つけたらぜひ読みたいと思います。

真保裕一の解説も良かったです。

ダークな内容を面白可笑しく描いています。

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