ベルリン飛行指令

28 01 2010

ゼロ戦はベルリンまで飛んだのか?

戦時中に日本からベルリンに向けて無着陸飛行を計画・実行を試みるも、途中で行方不明になってしまった話は有名ですが、太平洋戦争前にゼロ戦がベルリンに向かったという話は聞いたこともありませんでした。それでこの本を手に取った時、フィクションだろうけど「エトロフ発緊急電」も面白かったし、これもきっとそんな感じで面白いだろうと思って借りました。しかし、冒頭を読んで「これは真実なのか?」という気持ちが芽生えてきました。そこには何と、著者が実際に恩師から「ゼロ戦がベルリンに向けて飛んだことが本当だったか調査している」という話を聞き、その調査を受け継ぎ、この本にまとめたということが書かれていたのでした。記録は全くの皆無の状態から新聞などで情報提供を訴え、そこで得た情報の信頼性を吟味した結果、この物語が出来た感じでなのです。

時代は第二次世界大戦中、ドイツがイギリスの大空襲を実施していた頃です。ドイツ空軍は占領下のフランスからドーバー海峡を越えた先にあるイギリスを空撃しますが、大失敗してしまいます。その大きな理由は飛行距離。メッサーシュミットをはじめとするドイツ空軍が所有している航空機は、イギリス本土に渡っても20分くらいの攻撃しかできないほどの燃料しか搭載できないため、退却中などに次々と撃墜されて作戦は失敗、はてはイギリス攻撃を断念してしまいます。そしてヒトラーの矛先はソ連に向いていくわけですが、その前(作戦断念前)に何とか航空機開発をしようとします。そんな矢先、中国で日本の新型戦闘機が大戦果を挙げたとの情報が入ります。その戦闘機は1回の給油で何と2,500キロ以上飛行できるとか。そう、その戦闘機こそ「タイプ・ゼロ」、ゼロ戦だったのです。ゼロ戦ほどの飛行距離があればイギリス全土の空襲が可能になります。そこでドイツはゼロ戦を輸入し、その性能を解剖した後、ライセンス生産をすべく日本に交渉を持ちかけます。折しも三国同盟を締結したばかり。日本と米英はまだ交戦していませんが、ドイツと結んだ日本は米英にとって、もはや敵同然。よって一目につきやすい陸路と海路は時間がかかる上、危険極まりありません。そこで残された手段は空路。まさにゼロ戦に乗ってベルリンへそれを届けるしかありません。日本はドイツが不可侵条約をソ連と結んでいるため、ソ連空路を提案しますが、ドイツは「それは絶対ダメ!」と突っぱねます。もはやドイツにとってソ連は敵と見ていたからその様子を絶対知られたくなかったのでしょう。すると残ったルートはアジア横断ルートしかありません。その途中には英国植民地であるインドやイラクでの給油も必須。それも相手に知られぬよう極秘にしなければなりません。そんな厳しい状況の下、2人の飛行士をはじめ、インドの諜報員や政府筋の人間などが、この計画を成功させようと暗躍していく、壮大なドラマなのです。

実際に登場した人物達なので現実味を帯びていましたし、人物像も細かく描写されていたので、リアリティがあって物語に惹き込まれていきました。特にイラクでのやりとりが強く印象に残りました。飛行士と整備士とのやりとり、そしてゼロ戦によるイラク英軍基地攻撃。この攻撃は本当にあったかどうか分かりませんが、これも著者が実際にこの基地にいた人から聞いた話だったそうです。この飛行記録についてはどこにも載っていないそうなので、事実かどうかは断言できませんが、とても面白い本でした。ネットとかでちょっと調べてみようかな。

最後の方で、ゼロ戦の弱点も露呈されてしまいます。

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