エトロフ発緊急電

15 12 2009

「山本周五郎賞」を獲得した佐々木譲の小説です。メインの舞台は太平洋戦争勃発直前の択捉島。真珠湾攻撃は事前にアメリカに情報を傍受されていたという説が飛び交う中、裏社会で暗躍する主人公がスパイとして、真珠湾攻撃前の集合地であった択捉島に侵入していく設定の物語です。ここで注目したいのは日系アメリカ人である主人公やロシア系日本人であるヒロインをはじめ、主要人物の多くが混血であること。民族意識が強い近代戦争の中にあって、民族意識よりも「自分が生きるためにどうするか」「戦争のことより自分のこと」という思いが強い人物達を描いたところが面白いです。また、人として扱われていない朝鮮系の人物や南京大虐殺で恋人を失った宣教師なども登場し、当時の日本帝国がいかにヒドかったかも描かれていました。1冊ながら600ページ以上もあり、字も小さい方だったので、結構読み応えありましたが、内容はとても充実していて面白かったです。中でも特高警察等の目をくらましながら最終目的地である択捉島へ進んでいく場面が緊迫感もあってGOODでした。結局主人公の健闘も空しく、真珠湾攻撃が成功してしまう訳ですが、果たしてあの奇襲は成功したのかは「?」です。確かに油断している敵戦艦を何隻も撃沈させたのは凄いですが、一番の目的であった空母が居なかったのはただの偶然ではなく、情報を知っていたから撃沈させられないようにするために出航していたのではないかと時々思うのです。また、宣戦布告する前に攻撃してしまった日本はヒドいですが、ABCD包囲網など、資源不足に悩む日本を追い込んで行くアメリカもまたヒドいと思いました。

悲しい結末でしたが、内容は充実していました。

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